【実録】大阪の靭公園で映画を上映するためにやったこと

2019.10.17

株式会社人間
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株式会社人間

どうも、シャニカマです。
先日、大阪市にある「靱公園」という大きな公園を使って映画の上映会を行いました。

公園という公共スペースを使い、権利の厳しい映画を上映するまでにはいくつかのハードルがあります。
しかし「絶対に無理」というほどのものでもなく、公園を有効に活用して映画館でも味わえない開放的な空間で映画が楽しめて、イベント自体はとても好評でした。

ぜひ皆さんにもやってみてほしい。
というわけで「靱公園で映画の上映会をするまでの流れ」をまとめました。

あくまで今回実施した靱公園での事例となりますので、他の公園や自治体で同じことが可能かどうかは分かりませんが、参考にはなるでしょう。
実際に開催したい方はお読みいただく価値があるかと思います。

イベント概要

開催場所:靱公園 東グラウンド(大阪府大阪市西区靱本町2丁目1−4)
日時:8/9 19:00~21:00
上映作品:「マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー」(2018年公開)
参加費:無料
定員:30名

イベントの目的

もともと人間では月一回、誰でも参加できる「人間酒場」や「うつぼランチ部」といった活動を通じて、ご近所の会社や地域の方々との交流を活発化させる活動を続けていました。今回の映画祭もその一環です。

しかし、今回のイベントにはもう1つ目的がありました。
それは「公園を活用するハードルを下げたい」ということです。

公園といえば子供の頃から友達や地域の人と交流する場として機能してきた、言わば老舗のコミュニティ・スペースです。誰もが気軽に訪れ、ふれあい、語り合える設備が整っている。オフラインでのつながりを豊かにするためには格好の場所です。

これを有効活用しない手はありません。
しかし、散歩やお花見以外で公園を使うことがありません。

そこで、公園がもつコミュニティスペースとしての可能性をもっと広げ、活用のハードルを下げるためにも公園で映画祭を実施しました。

公園で映画祭をする上で重要な3つのハードル

公園で映画祭を実施するにあたって3つの大きなハードルがあります。
それは「会場」「電源」「作品」です。

会場

公園を映画祭の会場として使用する場合、必ず場所の使用許可が必要になります。
私的利用が認められた公共の場とはいえ夜19時以降に大きな音を出して映像を流し、ある程度大きな区画を占拠するのですから、公式に認めてもらった上で活動しなければ2度と使わせてもらえなくなるリスクも出てきてしまいます。

電源

当たり前のことですが、公園に私的利用が認められた電源はありません。
しかし映画祭をする場合、プロジェクターやら再生機を使用することになるため電源の確保が不可欠になります。

作品

当然のことながら、映像作品を勝手に上映することは法律で禁止されています。
そのため「上映可能な作品」を専門の業者さんから仕入れて上映する必要があります。

これらをクリアすることが、実施可否を左右する大きなポイントになります。

逆に言えば、この3つさえクリアすればあとは人を集めて上映するだけです。
そのためこのマニュアルではこれらの部分にフォーカスして紹介します。
(細かな機材についてはマニュアルの最後にまとめておきます)

 

会場

1.公園事務所への問い合わせ

どの公園にも管理をしている事務所が存在します。
靱公園の場合は、大阪市西区の公園を管轄している「大阪城公園事務所」という事務所でした。

ネットに電話番号が載っているのでまずは電話をしました。
ここでは映画を上映したい旨と希望日程、そして「公園をもっと多くの人に利用してほしい」という目的を伝えました。

事務所の方はとても前向きに受け止めてくださいましたが、やはり「前例が無い」ということで一度打ち合わせをすることに。ただ、日程だけは先に仮押さえをしてくださいました。

ペライチで企画の概要をまとめた資料を作り、後日打ち合わせをすることに。

※実際に提案時使用した資料

打ち合わせでは再度企画の説明をした後、地域の方々の方に丁寧な配慮を行い、以下の懸念点が解消されれば実施は問題ないと伺いました。

<懸念点>
・夜間の上映となるので近隣住民にとって不快な騒音とならないか
・他の公園利用者の目に入って不快な思いをしないか(エログロなど)

1つ目の「騒音の心配」については、公園に隣接する地域2箇所の「連合町会」という団体に事前に相談した方が良いとのこと。(後述)
そして、残りの「公園利用者への配慮」については園内の通路から距離を取ったグラウンドの中央付近であれば影響が少ないと伺ったので、場所を変更することで解消しました。また、上映プログラムも事前に提出して確認させていただきました。

更に大阪城公園事務所の方からは以下の内容も伺いました。

・飲食は可能(昼休みに公園でパンを食べるのと同じ)
・公園を一時的に占有するため利用料が発生:¥610-/3時間(2019/8/7時点)
・電源の貸し出しは不可能なのでバッテリーを使用してほしい

上記に留意したまま、次は近隣住民の方へ配慮するため「連合町会」の方にお伺いをします。

2.連合町会の方に許可をもらう

靱公園はとても大きな公園なので、2箇所の「連合町会」に許可を取る必要がありました。
「靭連合町会」と「西船場連合町会」です。

両方の会長さんに説明をしたところ、すんなりと許可をいただくことが出来ました。
更に「靭連合町会」の会長さんが特に協力的で「ビラを作ってくれたら配る」とまで言ってくださいました。

後でも述べますが、この会長さんとのつながりが映画祭を実現する上でとても重要な鍵となります。

以上で公園の利用許可は完了しました。

 

電源

公園の利用許可はもらいましたが、電源の使用許可は下りませんでした。
しかし、結果的に公園内の電源をお借りして映画祭を実施することになります。

そこまでの経緯をご紹介します。

1.自動販売機の電源を借りれないか交渉

上映場所となったグラウンドには自動販売機がありました。
自動販売機があるということは、少なくとも電源があるはずです。

そこで自動販売機の電源を管理している会社を辿ると「ITC靭テニスセンター」という団体が管理していることが分かりました。

こちらの団体に電話で問い合わせたところ「電源は管理しているが、電気代は自動販売機を設置する代わりに自動販売機の管理会社が負担しているので貸し出せない」と返答をいただきました。

そこで「使用した分の電気料金を支払います」と提案したところ、自販機の管理会社に問い合わせていただけることになりました。

2.靭連合町会の協力

ITCさんが自販機の会社に問い合わせてくださっている間、借りれなかった場合のことも考えて他のアプローチも検討していました。そのうちの1つが、許可を取りに伺った際にとても前向きな姿勢を見せてくださった「靭連合町会」の会長さんです。

「靭連合町会」の会館が靭公園内にあり、グラウンドまで距離はあるのですが、最悪の場合電源をお借りできないか相談することにしました。

すると会長さんから「別のイベントではあの電源を使わせてもらっている」「ITCさんの支配人に直接かけあえるから任せてほしい」と言っていただけました。願っても無い話、渡りに船です。

結果的に担当者レベルではなく直接トップの方に相談することが出来たため、無料で電源を使わせていただくことが出来ました。

 

ここから分かることは「地域を巻き込むことの重要性」です。

地域の方々には密接な交友関係があり、イベントや行事の際には電源に関わらず協力しあっている場合が多くあります。それは「地域を盛り上げたい」という目的意識でつながっているからでしょう。
今回の会長さんについても「靱公園を盛り上げたい」「もっと多くの人に使ってほしい」という部分に強く共感してくださっています。

このような「地域振興」に根ざした目的意識のもと公園を利用することは、非常に有効な手段かもしれません。

その他「電源」の候補

今回は自販機の電源を拝借することが出来ましたが、同時並行で別な方法も検討していました。
自販機がない小さな公園などで開催する場合の参考にしてみてください。

「バッテリー」
バッテリーを購入して電源を確保する方法です。しかし、2時間以上の上映に耐え得るバッテリーとなると費用が4万円以上してしまうため、個人での購入は難しいかもしれません。
また、ガソリン式の発電機などは火気厳禁の公園では使用が難しいでしょう。

「周辺施設」
今回は利用しませんでしたが、周辺の施設はいくつか当たってみました。
断られる所もありましたが、一箇所「貸し会議室」の施設が貸し出しを許可してくださいました。
ただ費用が1万円もするので、それならバッテリーを購入した方が長期的に見て良いと判断し、今回は利用しませんでした。

 

作品

上映作品は上映用に貸し出している会社があるので、そこを利用します。
今回は「株式会社ムービーマネジメントカンパニー(以下、MMC)」さんを利用させていただきました。

貸し出しまでのフロー

貸し出しまでのフローはとても明快で、以下の通りです。

上映会の概要を伝える(屋外/屋内、有料/無料など)

MMCさんから作品リストをもらう

リストの中から希望の作品を選んで発注する

代金を振り込む(上映一週間前まで)

発送される

ディスクが届く

※今回はMMCさんにお願いしたので上記のようなフローでしたが、別の業者さんの場合はリスト化などお願いできないかもしれません。

作品の選定条件

前述の通り上映可能な作品はMMCさんに選んでリスト化してもらいました。
貸し出し可能な作品は、主に以下の要素で決まるそうです。

・配給会社
・レンタル業者(他の業者では扱っている作品、またはその逆もあり得る)
・屋外上映/屋内上映
・有料/無料

さらに、今回は我々の都合で19:00〜21:00しか上映会が実施できないので、「2時間以内」という条件を加えて選定しました。その結果一番よかったものが「マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー」だったというわけです。

 

当日のオペレーション

最後に当日の準備をどのように行ったかご紹介します。

1.ダンボールとビニールシートで簡易鑑賞スペースを作成

お花見の要領でビニールシートを敷いた上に座って鑑賞できるスペースを作成しました。
ただ、2時間以上座ったままの姿勢になるので、少しでも足の負担を減らせるように大量のダンボールを敷き詰め、その上にビニールシートを掛けました。

弊社では日常的にダンボールのゴミが発生するのですぐ集めることが出来ましたが、そうでない場合はスーパーやドラッグストアで手に入れることが可能です。

2.スクリーンを設置

鑑賞スペースの前方にスクリーンを設置します。
今回は運よく知り合いの会社から不要な「照明スタンド」とスクリーンを貰うことが出来たので、そちらを使用しました。(購入したい方は最後に備品リストを載せておくので参照してください)

照明スタンドにはスクリーンを装着する取っ掛かりが無いので、今回は結束バンドと養生テープで固定しました。また、スクリーンは風の影響をモロに受けるので、スタンドには貯水式のウェイトをくくりつけておくべきでしょう。

 

3.スピーカーを設置

スピーカーはスピーカーの両隣に設置します。
弊社にはスピーカーとスピーカースタンドがあったので、そのまま利用しました。

通販でもスピーカーとスタンドのセットが販売されていますので、ご購入の際は検討してみてください。

4.プロジェクターを設置

客席の手前にプロジェクターを設置します。
今回は高さ1mぐらいの屋外用折りたたみテーブルを置いて、その上にプロジェクターを設置しました。

そこからHDMIケーブルを引き、パソコンに繋いで映像を流します。

5.軽食を用意

公園は飲食が可能なので(販売は別)軽食を事前に用意して振舞うことは可能です。
今回はポップコーンとソフトドリンクを用意しました。

 

 

完成写真

上映会をした結果

上映会は天候にも恵まれ、猛暑続く中でしたが、夜風が出ていてタオルなしで涼しく鑑賞することが出来ました。参加者からも「またやってほしい」という意見をたくさんいただきました。

また、今回は公に告知をせず、関係者だけで試験的に行ったのですが、ふらっと立ち寄った見ず知らずの方にも参加していただき、新たなつながりも生まれました。

今回の結果を踏まえて「やってて良かったこと」「やっておけば良かったこと」を最後にまとめます。

やってて良かったこと

・連絡や挨拶回り、許可取りを徹底したこと(「地域」「民間」「行政」を抑えた)
・ダンボールを敷くなど鑑賞しやすい工夫をした
・途中参加や、それなりに集中しなくても楽しめるミュージカル映画にしたこと
・暑さ対策で夜間上映にしたこと
・虫対策でスプレーや蚊取り線香を焚き、水辺を避けたこと

やっておけば良かったこと

・映画タイトルを吟味する時間がなく、消去法での選定になってしまったこと
・準備に時間がかかり、少し上映開始が押してしまったこと

 

備品類詳細

備品リスト

・スクリーン 180インチ(不明):スクリーンとして
・T型 照明スタンド(STAGE EVOLUTION/ LS50T):スクリーンを設置する枠組みとして
・養生テープ(寺岡製作所 養生テープ 包装用 P-カットテープ 50mm×25m No.4102 透明):スクリーンを枠に固定するため
・結束バンド(コーナン オリジナル LIFELEX 結束バンド100本入 ホワイト 300mm):スクリーンを枠に固定するため
・スピーカー(SPEAKER SYSTEM MODEL 400S):スピーカーとして
・スピーカースタンド(CLASSIC PRO/SPS BLACK):スピーカースタンドとして
・ビニールシート(ユタカ #3000 ブラックシート 2.7mx3.6m BKS-05):鑑賞スペースとして
・ダンボール(-):鑑賞スペースとして
・上映会用DVD(-):映像再生用
・PC(MacBook Pro):映像再生用
・ポータブルDVDドライブ(Foxnovo USB3.0 Type-C 外付け DVD ドライブ):映像再生用
・プロジェクター(BenQ プロジェクター MW632ST 短焦点モデル):映像再生用
・簡易テーブル(YAMAZEN タフライトテーブル TLT-6060(MBK)ブラック):鑑賞スペースとして、プロジェクター設置台として
・蚊取り線香(金鳥の渦巻):虫除け対策
・虫除けスプレー(屋外空間用)(ヤブ蚊がいなくなるスプレー 蚊よけ 8時間効果持続 無香料 450ml):虫除け対策

費用

スタッフ

企画:花岡
交渉:小田切萌
会場設計:佐々木航大
準備・設営: 佐々木航大、シャニカマ、武藤崇史、山根シボル、河本裕介