ワールドワイドじゃないウェブ

No.0153

その場所からしか見られない秘密のサイト

幼いころ、長野県の山奥にある山小屋へ両親に連れさられたことがありました。

特にやることもなくヒマだったので、夕飯のカレーを作るために買ってあった豚肉のかたまりを外にいた一匹の野犬に窓からこっそり投げてみたら、10分後にはヨダレを垂らした野犬の群れが大量に押しよせる事態に。

「早く帰ろう」と今は亡き父親へ泣きつくと、「なに言ってるんだ。ここで1週間ほど家族で過ごすんじゃないか」と笑って言います。ああ、この人たちは頭がイカれてるんだなと確信しました。

しつこく取りかこむ野犬のせいで外に出る気にもなれず、だからといって室内にはテレビも何もなく。そんな退屈なわたしを救ったのが、押入れの奥にひっそりと置かれていた1冊のノートでした。

そこには、このロッジに宿泊してきた人たちのメッセージが書きのこされていて、当時のわたしにとっては刺激的すぎるイラストや描写もちらほら。このロッジでこんなことが起きていただなんて。おかげさまで最高のひとときを過ごすことができました。

いつでもどこからでも読めるのではなく、その場所でしか読むことができない「秘密のノート」。あの、なんともいえない興奮は今でも思いだします。もっといろいろなところに、あのワクワクが散らばっていたらいいのに。

そこで、その場所でしか読むことができない秘密のウェブサイトをどなたかつくってくれませんか。閲覧制限がかけられていて、ユーザーの位置情報が合致したときにだけログインできる仕組みです。

あんなところにも、こんなところにも。街中のいたるところに秘密のウェブサイトが落っこちていたら、それを探しだすのも楽しいはず。思いがけないサイトを見つけたときには、あの興奮が再び蘇ってくれるにちがいありません。「その場所に来ないと見られない」という限定感は、店舗や商店街、地方自治体などのプロモーション施策としても活用できるのではないでしょうか。

もしかしたら、官能的なプレミア画像サイトを空き地や駐車場の裏なんかに忍ばせれば、雨に濡れて汚れたエロ本を必死に探した甘酸っぱい少年時代の経験を、現代にリバイバルすることもできるかもしれません。

もしよければ、本当につくる際には、以下のコピーもご自由にお使いください。

それでは。