思わず吹き出す「ふく年賀状」を作りました

2022.01.11

あけましておめでとうございます。
株式会社人間の山根シボルです。

弊社では毎年、年賀状としてくだらないモノを送っているのですが、そろそろ「いつまで続ければいいんだろう」と息切れしそうになったところで思いついたのが、息が続く間しか読めない『ふく年賀状』です。

吹いて、伸びて、戻るだけの年賀状

まずは写真でくだらなさを感じとってください。

というわけで、
吹きましておめでとうございます。

息を吹くと、ピーッと鳴って、伸びて、戻るだけ。
今年は「吹き戻し」の年賀状です。

これが届くと、人はどうなってしまうのか?
皆さんの反応を見てみましょう。

このように、誰でも思わず吹いてしまうんですね。

「吹き戻し」って誰がやっても面白く、いい意味でバカに見えてしまうオモチャの代表格じゃないですか。この根源的な魅力にあやかりたくて作りました。

それではここからは、この年賀状の制作を任されてしまったシャニカマから、今年もやばかった現場の声を届けてもらいましょう。

「ふく年賀状」ができるまで

どうも、岡シャニカマです。
ここからは「ふく年賀状」がどのように作り上げられたのかをご紹介します。

1.企画を固める(年内最終営業日まであと25日)

まずスタート段階で「吹き戻しを年賀状にする」以外は何も決まっていませんでした。

企画が決まった段階でのプロトタイプ

そこでデザイナーの松尾さんと私とで完成イメージを考えました。

やはり人間の年賀状である以上、ギリギリ許される程度の嫌がらせはしたいので、長く息を吹き続けなければ読めない年賀状にすることに。

「2022文字にしちゃいますか」というのは松尾さんのアイデアです。私ではありません。

2.構造を考える(年内最終営業日まであと20日)

ただ、これをどう実現すれば良いのか、まるで検討がつきません。
そこで有識者の方に話を聞いてみようということで、国産吹き戻しのシェア80%を誇る吹き戻しの里に相談しました。

代表の村田さんはとても親切な方で、吹き戻しの構造や素材、製作方法などを事細かく教えてくださいました。
しかし、年賀状にするというのはあまりに前代未聞だったため、とにかく試作を繰り返していくしかないという結論に。そらそうです。

村田さんから試作用に全長1mの吹き戻しを何本も送っていただき、まずは紙を貼り合わせる構造を決めることに。
これがなかなか難しく、単純に紙をピッタリ貼り合わせてしまうと、巻き戻る際に内側の紙が寄れてシワになってしまうのです。

私と松尾さんは「もう貼り合わせるのは無理だ」と判断し、1枚の紙に吹き戻しを巻きつける形で製作しようと考えていました。
要は吹き戻しが剥き出しの状態にするということです。

しかし山根さんだけは諦めきれず、夜中2時まで1人試作を重ね、ついに「両サイドを空洞にする」という製法を開発し、見事に完成させるのでした。

実際に山根さんが夜中完成させたプロトタイプ

3.紙を選ぶ(年内最終営業日まであと15日)

構造が決まれば、次は紙の選定です。
ここも苦難の連続でした。

普通のコピー用紙では丸めた際にシワが入ってしまい、逆に厚紙や光沢紙だと重すぎて巻き戻らないのです。

そこで、いつもお世話になっている印刷会社「有限会社サンクラール」の矢田さんに相談し、いくつか用紙のパターンをもらいました。
これらを様々な大きさにカットして、吹き戻しに貼り合わせ、きちんと巻き戻るかを検証します。

結果的に「純白ロール」という紙で私が試作したところ、シワにもならず巻き戻るプロトタイプが完成しました。
ここでようやくサイズが確定します。

4.デザインを完成させる(年内最終営業日まであと10日)

サイズが決まったので、ようやくデザインを完成させられるようになりました。
全体のデザインを松尾さん、2022文字の挨拶文を私が担当しました。

割とスムーズに進んだのですが、イラストだけが決まらない。
しかし入稿日は刻々と迫っています。

そして、ある人物が放った1つのダジャレがキッカケとなり、イラストはあの人になりました。

5.量産する(年内最終営業日まであと5日)

年内最終営業日まで5日となったところで、ようやく吹き戻しと用紙が到着。
ここから毎年恒例となった、インターン生を総動員しての量産に入ります。

楽しそうなインターン生たち

まずはインターン生たちがメインで制作を進めていきます。
吹き戻しの個数には限りがあるため、貼り合わせ作業などは失敗が許されない中、丁寧に作り上げていってくれました。

しかし、開始から5時間ほど経過してから、いくつかの吹き戻しが綺麗に戻らないことが発覚しました。
私が試作した時と同じ方法で作っているのに、なぜ……?

おそらく私がマニュアルに載せていない、暗黙知的な技術が存在するのです。
ここへきて改めて製造工程を見直し、原因を追求したところ、吹き戻しに貼り合わせた後に丸めて型をつける「巻き込み」の作業が重要であることが分かりました。(読者の方には何のこっちゃだと思いますが)

そこからは遅れたペースを取り戻すため、急ピッチで作業を進めます。
仕方がないので社員の松尾さん、武藤さん、木戸さん、バーバラさんの4名にもノルマを課して手伝ってもらいました。

ノルマを課しての厳正な生産管理のせいで多少社内がギクシャクしましたが、その甲斐あって全ての年賀状が完成。
そこから空気入れを使っての検品作業と、梱包作業をひたすら進めていきます。

そして、迎えた年内最終営業日。
計408個もの 「ふく年賀状」がようやく完成し、皆様のもとへ届くのでした。

皆さまの息抜きになれば幸いです

再び山根です。
本当はモノ作るようなタイプじゃないのに、どんどん器用になっていくシャニカマのこれからにご期待ください。そして、改めてご協力いただいた方々に心から感謝いたします。

世の中はなかなか落ち着きませんが、
2022年こそは禍を転じて「吹く」と為す。
そんな年にしたいですね。

「ふく年賀状」の製作に協力してくれた方々

株式会社吹き戻しの里
有限会社サンクラール
大森 文絵
澤本 彩樂
高橋 優香
竹村 和
福山 空