セミ捕りの全国大会「セミトリエンナーレ2019」を開催しました。

2019.08.30

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株式会社人間

お初お目にかかります。
7月から奴隷として人間に仕えているシャニカマと申します。

先日、弊社の花岡代表が開催した物議を醸さないトリエンナーレこと「セミトリエンナーレ2019」に参加してきました。
簡単に言うと「セミ捕り大会」なのですが、侮るなかれ。

「セミ捕り」とは、どんな有名な講師を呼んだ“セミナー”よりも圧倒的に深い根源的な学びをもたらしてくれる新時代の“セミナー”なのです。
その感動をイベントレポとしてお伝えさせていただきます。

“セミトリエンナーレ”ってなんやねん

セミトリエンナーレとは「三度の飯よりセミが好き」な花岡さんが、自分のセミ愛に人を付き合わせる道楽として始めたセミ捕り大会です。

2012年に第1回が行われ、今回で第5回になる歴史ある由緒正しいイベントです。
そして全ての大会において主催者である花岡さん自ら優勝しています
出来レースではありません、実力差の結果です。

それもそのはず、花岡さんは普段から娘さんを連れてセミを取り歩いており、時には家でセミの羽化を見ながらご飯を食べるんだとか。そんな食卓を許容している奧さんにも娘さんにも脱帽ですね。

7月の人間酒場に花岡さんが持ち込んだ羽化中のセミ

大会のルールは至ってシンプル。
制限時間内に何匹セミを捕まえられるか。それだけ。
花岡さんは一家で参戦し、毎年60匹ものセミを捕まえるそうです。

参加費は大人のみ1人1000円です。
そして優勝者が全ての参加費を総取りするんだとか。
これまでの情報を総括すると「セミ捕り」の名を借りた花岡さんによる一方的な「カツアゲ」ですね。

さて、そんなカツアゲをされると分かっていながら、参加してまいりました。
まさに飛んで火に入る夏の虫です。

本番当日

2019年8月4日

晴天に恵まれた服部緑地は逃げ場のない暑さに覆われています。
そこに集まったのは12名の精鋭たち。5つのチームに分かれて戦います。

私は人間社員の武藤さんとペアで参戦しましたが、危機管理不能型ディレクターの武藤さんは虫カゴを忘れ、持参した虫取り網は全長50cmでした。
そして私は1.5mほどの網をもっているものの、虫が大の苦手。先日自転車の鈴にバッタが付いていて10分間自転車に乗れませんでした。

人間の最弱ペア

勝ち目はありません。

しかし、私は大会が終わった後「こんな素晴らしい大会は他にない」と思うことになります。

セミたちが教えてくれた『7つの学び』

セミトリエンナーレでは7つもの深い深い学びがありました。
なぜ7つなのかは御察しの通りです。

1.取れるか取れないかは、セミ次第です

開催前、服部緑地を移動している時のこと。
花岡さんが道端でセミを見つけ、網を振りかざしました。

しかし、あろうことかセミはスルリと網を交わして逃げてしまいます。
弘法も筆の誤り、猿も木から落ちる、花岡の網にも抜け穴。

すると花岡さんは一切表情を変えず、次の木に移ってすぐさま別のセミを捕まえました。
そう。悔しがったりする時間は無駄なのです。

花岡さんは「最後はセミ次第」ということを知っていました。
だから自分がベストな網振りをした結果逃げられたなら、仕方がないと思えるのです。

セミも仕事も、失敗したことにこだわるより「次どうするか」ということですね。

本文とは関係ないが名言を言ってそうな花岡さん

 

2.木を見る前に森を見よ

武藤さんと私は開始の号令と同時に駆け出す。
とにかく先に進み、残らずセミを取り尽くしてやろうと思ったのです。

しかし、残念なことに開始20分経っても2人が捕まえたセミは0匹でした。
その間に他の人は4匹、5匹とセミを捕まえています。

実はセミには「高いところに登る」という習性があり、高い木であればあるほど上に登ってしまうのです。
そのため効率よくセミを採取するためには背の低い木がたくさん生えているスポットに行かなければなりません。

私たちは「虫が多そう」というだけで巨大な木が生い茂る場所ばかり探していたので、セミを捉えられないのでした。そもそも選ぶエリアで失敗しているんです。

営業の仕事なんかでも事前にエリアを広く見て有望な区域を論理的な仮説のもと調べておく方が成果は大きくなりますよね。

それと同じです。
まさに、木を見て森を見ず

 

3.「セミ前」であれ

セミ捕りの初心者が一番最初にぶち当たる壁。
それは「そもそもセミが見つけられない」です。

音のする方ばかり目で追っても、高木に止まったセミはなかなか見つかりません。
また、花岡さんいわくセミはオスしか鳴かないので、セミの半分(メス)は黙って木に止まっているんだとか。それにオスのセミだってずっと鳴いているわけじゃありません。

つまり「鳴き声がしないから」という理由で木を素通りしていると50%以上の機会損失になるのです。
実際、何度も見たはずの木で他の参加者がセミを見つけていました。

だから常にどの木にも「セミがいる前提」で望まねばなりません。
これが「セミ前」です。

可能性を勝手に自分の判断で狭めてはいけないということ。

「向かいのホーム、路地裏の窓、そんなとこにいるはずもないのに」
そう思うのは時期尚早ということですね。

実はここにセミが一匹いるのですが、あなたには見つけられますか?

 

4.一本先を見よ

イベントも後半になってくると、私は徐々にセミを見つけられるようになってきました。
しかし、どうもセミに先読みされて逃げられるのです。

特にクマゼミ。大きな体をしたヤツは見た目以上に俊敏です。
そして警戒心もセミ一倍強い。

じゃあ、どうすればいいのか。
相手より先に見つけることです。

目の前の木でクマゼミを見つけたとしても、気づいた途端に逃げられてしまいます。
だったら目が前に付いている人間の優位性を利用して、一本先の木を見ながら探すべきなのです。

先に見つけていれば長い網を使って攻めることもできる。
ペアでフォーメーションを組んで追い込むことだってできるかもしれません。

要は「知られずに知る」ということです。
織田信長もこの「知られずに知る」をしたからこそ、桶狭間で今川氏を討つことができました。

武藤さんが討ち取った記念すべき初ゼミ

 

5.セミでも目がくらむ

大会終了間際になって武藤さんがこんな提案をしてきました。

「セミ買収しようよ」

言っている意味が理解できないまま付いていくと、歩みの先には人間の選考を受けているナガハマさんという参加者の方がいました。

<以下、2人の会話>
武:ぼく、人間の正社員なんですよ。
ナ:あ、そうなんですね!
武:花岡とも、どんな人が必要かとかよく話ししてて。
ナ:ええ。
武:…。
ナ:え?
武:セミ4匹でどうですか?
ナ:え…?

いつも優しくて穏やかな武藤さんが「正社員」という特権を利用してセミを買収しようとしたのです。
普段ならセミのために違法な取引なんてするはずのない人が、勝負事になるとセミでも目がくらんでしまう。恐ろしい話です。

その後ナガハマさんがカゴごとセミを受け渡そうとしたので、さすがに止めました。
こんなの間違ってる。

 

 

6.キャッチアンドリリースで「つながる」

最後に全員で集合してセミの数を数えます。
捕まえたセミは玉入れの要領でセミを逃しながら「1匹」「2匹」とリリースします。

まさにキャッチアンドリリース。

そして結果は今年も花岡一家の圧勝でした。
私たちが6匹しか捕まえられていない間に、花岡一家は28匹ものセミを捕まえていました。

そして最後に親の総取りで参加費を集めていく花岡さん。
どんどん集まる参加費を見つめる娘さんの表情がなんとも言えませんでした。

お金を徴収し終えると、花岡さんがこう言いました。

「ではこのお金でランチに行きましょう」

なんと総取りしたお金はみんなにランチを振る舞うために使われるというのです。
これまたキャッチアンドリリース

こうすることで、結果的にお金もセミも奪われることなく「つながり」が生まれるのです。

それは参加者同士のつながり。
そして参加者とセミとのつながりです。

 

7.戦いに終わりはない

イベントも終わり帰り道のこと。
参加者である1人の少年が「結局1匹も捕まえられてへん」と俯きがちに歩いていました。

なんとかしてあげようと一緒にセミを探すと、運よく帰り道で1匹捕まえることが出来たのです。
少年は大喜びで参加者全員に「初めて捕まえたで!」と触れ回ります。

「初めて捕まえてん!」
「すごいなあ!」
「やったやん!」
「良かったなあ〜!」

そしてもちろん花岡さんにも。

「俺初めてセミ捕まえたで!」

すると花岡さんはこう答えました。

「へえ、セミ童貞失ったか」

ひどい人だと思いますか?
せっかく捕まえたのに褒めろよ、大人気ない!と思いますか?

私はそうは思いません。

花岡さんは1匹目の捕獲を「賞賛すべき」と思っている以上に「長い戦いの始まり」と捉えているのです。
それは先に進んでいる者だからこそ抱く感情。

本人にもセミとの戦いに終わりは見えていないのでしょう。
だからこそ、次なる高みを目指して生きて行ける。

それで花岡さんはセミトリエンナーレを続けるのかもしれません。
自分を倒す強敵が現れる日を待ちわびているのです。

「敗北が知りたい」

弊社のバイブルである刃牙に出てくる名言です。
敗北をプレゼントしてくれる人を、花岡さんは待っています。

それはあなたかもしれません。
来年のご参加お待ちしております。

 

結果

最後に大会の詳細な結果を載せておきます。
ご参加いただいた皆さん、本当にお疲れ様でした!