人間の年賀状2025「年貝状」

2025.01.22

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清水 宏世

サザエて頂いた皆様へ送る「年貝状」を造りました

あけましておめでとうございます。清水です。
株式会社人間の恒例行事「年賀状づくり」が今年も行われました。
例年通り、めちゃくちゃ忙しい年末に、めちゃくちゃ労力をかけて変な年賀状を大量につくったので、今年もその一連をお伝えします。

なぜ僕がお伝えするかというと、提出した企画案『年貝状』が通ったからです。


「年賀状をほじくり出すことってふだんないよな」と思い、そこを中心にプレゼンしたら通りました。
通るんだと思いました。

でき揚がった年貝状

それでは、完成品をみてみましょう。

本物のサザエの殻のなかに、布製の細長い年賀状を詰め込んでいます。
すみません、そんなことをして。

文章は貝に掛けたダジャレを書き連ねました。郵便番号はあの有名な一家の住所に紐づけています。


「開けるのがめんどくさい」「サザエは年賀状じゃない」「年賀状文化の崩壊」などのご意見をいただきました。

正解です。

500個の貝殻、集まるかい?

ふざけた見た目の年貝状ですが、実は完成までにかなり苦労しました。

最初に立ちはだかったのは「サザエの殻集め」です。
今回の目標お届け数は500通。つまり、サザエの殻が500個必要ということ。

当初は「海鮮系の飲食店で使い終わった殻をたくさんもらえるのでは? 案外それで揃っちゃうのでは?」となぜか楽観視していたのですが、フタをあけるとサザエのシーズンじゃないこともありもらえず。

そこで、メルカリなどで出品している方々から、ブルドーザーのように買いあさっていく方針に変更しました。

主にインターンのミウラくんに購入をお願いしていたのですが、アルゴリズムに「貝殻を求めている人」と認識され、「こちらの貝殻はどうですか?」とオススメの貝の通知がたくさん飛んでくるようになったらしいです。かわいそうに。

それでも320個しか揃わなかったため、残り180個は中身ありの生のサザエを購入。

ようやく500個のサザエが会社に揃ったのですが、ここで問題が発生します。

1個1個の大きさが全然違いました。親子ぐらい違う。

大きい貝と小さい貝があった場合、大きい貝をもらえる方が嬉しいはずなので、「より媚びを売りたい届け先には、大きいサザエを送るべきでは?」という議論も巻き起こりました。
しかし、最終的には疲れてどうでもよくなり、大きさはランダムの選定に落ち着いています。

小さい貝がきたみなさま、がっかりしたと思います。すみません。

さて、サザエが揃ったところで次のハードルが立ちはだかります。それは「購入した生のサザエをどのように処理するのか」。ここの説明ははまださんに託します。

大量のサザエ、食べれるかい?

こんにちは!人間のグルメ担当、はまだです。
無事、サザエの貝殻を500個ほど確保したのですが、「生サザエを180個も食べれるのか問題」が発生。
サザエなんて正直 3つ食べたら十分満足です。人間の社員は11人なので、社内で食べれるのは、どう多く見積もっても50個〜80個が限界でした。

届いた180個のサザエ。広告業界の会社なのに、オフィスに磯の香りが充満しました。

どうしようか悩んでいたのですが、花岡さんの提案でサザエを周りの飲食店に配り、無理やり使ってもらうことに。

スパイスカレーのあきらカレーさんと、日本料理の楽々さんにご協力いただきました!
あきらカレーには、サザエを100個ほど持っていったのですが、あきらさんも忙しいので、下処理をお手伝い。

「ほんまにサザエ持ってきたんや!」と驚くあきらさん

サザエをくり抜くときに、汁が飛びまくってまじ最悪でした。

「年賀状に使います。」と伝えると、半笑いの店主

「中身はいいんですけど、殻は年賀状に使うので捨てないでください。」という意味不明な依頼にも、快く応えてくれたお二人に感謝です。
年末の忙しいときにも関わらず、美味しい料理に仕上げてくれました。

あきらカレーからは、サザエのアチャール

楽々からは、サザエの煮付け

ご協力いただいた飲食店

店名 あきらカレー
住所 大阪市西区京町堀1丁目12−6
営業時間 ランチ:火水木土11:30~14:00(lo)
スパイス酒場:金土18:00~24:00
店名 楽々〜tano tano〜
住所 大阪市西区京町堀1丁目12−4
営業時間 17:30〜23:00 ※月曜定休

飲食店に配りきれなかったサザエは、ちょうどいいタイミングで開催された人間の忘年会で振る舞うことになりました。

名前だけでサザエを焼く係りに抜擢された甲斐さん

サザエを食べるインターンのミウラくん

みんな、なぜ忘年会にサザエ?という疑問を持ちながら、食べてくれました。

そしてまた次のハードル。「食べ終わった貝をどう処理するのか」。また清水さんに説明を戻します。

180個のサザエ、洗えるかい?

食べた貝はさすがに洗わなければ使えません。
いや、洗わずとも完成はできるのですが、さすがに磯臭すぎて苦情が来そうなので、仕方なく洗うことになりました。
Xでボランティアを募集すると、7名の有志から応募があり、総力戦で貝の洗浄スタートです。

洗浄ステップは大きく2段階。
①奥に残っている身をブラシで掻き出し
②煮沸する

しかしさっそくトラブルが発生します。

貝の中身が深すぎて、思ったようにブラシで掻き出せないのです。
結果として指で掻き出すという最悪のシナリオになりました。
「貝を洗う仕事」というフワッとした内容のもと来てみると、「食べ終わった貝の中身を指で掻き出す」という業務を任されたボランティアのみなさん、本当にすみませんでした。

それでも、「ドゥルンと中身が取れる瞬間が気持ちいい」というやりがいを見出し、軽快に作業を進めていただく姿に人間のたくましさを感じました。

最後には「中身がしっかり取れたか不安だから小型カメラを貝に差し込んで見たい」という極まった意見も出たのですが、「さすがに頑張りすぎ」ということで止めました。

その後、煮沸を行うと、臭いが大幅に減ったうえ、指で取り切れなかった中身もコロコロと出てきて、この日一番の盛り上がりとなりました。

500個のサザエ、加工して送れるかい?

いよいよ本体の組み立てです。

まずは大きな布に印刷した細長い年賀状を裁断します。
ゆっくり慎重に切ると布の端がほつれてしまうため、素早く思い切った裁断がコツでした。

裁断した年賀状をサザエに接着します。
今回でサザエと布がよくひっつく接着剤が分かったので共有します。以下です。

 

年賀状を接着したサザエをトレイに載せ、包装します。
ミウラくんが試行錯誤し、アイロンでうまく綴じる方法を編み出してくれました。
かなりギリギリの戦いになり、4台のアイロンを稼働させ夜なべで作業します。

最後に表面に値札シール、裏面に宛名シールを貼っていき、ついに完成!

重さ別に仕分け、タクシーで終了ぎりぎりの郵便局へ駆け込みます。
間に合うのか…?

間に合いました。

大量のパック入りサザエがあることで、郵便局がスーパーのバックヤードみたいになっていました。
年末に大量のパックの測量をさせてしまった郵便局のみなさま、申し訳ありませんでした。お疲れ様でした。また似たようなことをやるかもしれません。

まとめられるかい?

サザエは食べるととても美味しく素晴らしいのですが、年賀状にしようとするとやっかいです。
大量のサザエの購入とその面倒な処理、工数の多い組み立て、非常に高くつく郵送代…。

しかし、大変だからこそやり切ったときの達成感はひとしおです。
こんな達成感を得られるのも、ひとえにサザエて頂いた皆様のおかげー。

2025年も株式貝社人間を、よろしくおね貝いたします。

「年貝状」の製作に協力してくれた方々

金子千紘
カンダアイキ
阪田菜月
笹崎凛
佐々木あやね
ほねゴリラ
ミウラセナ
百瀬ガンジィ
山崎萌実
山下桃音