間違ってるのに間違いない「間違える年賀状」を作りました

2023.02.24

もう2月ですが、あけましておめでとうございます。
株式会社人間の山根シボルです。

ずいぶん時間が経ってしまいましたが、正月早々みなさまに大変失礼なことをしてしまったので、ここで改めて私たちの間違った行いについて説明責任を果たさせていただこうと思います。

あけましておめでとう誤字ゃいます

その失礼なこととは、2023年の弊社の年賀状のことでございます。
まずは、その問題の年賀状をご覧ください。

そう、宛名から裏面のあいさつから本文に写真まですべてにおいて間違っている「年誤状」なのです。そんな年賀状を送られたらどんな気持ちになるのか、被害者の声をいくつか見てみましょう。

みなさん、どうやら間違えられて喜んでいらっしゃるようですね。
(本当に怒ってる方はツイートしないと思いますが。)

さて、今年の年賀状の企画は私が出した案なんですが、アイデアの発端が「相手の名前を間違いたい!」という“制作会社が一番やってはいけないこと”だったため、社内を説得するために真面目な資料を用意することから始まりました。

いかがでしょうか。このためにもはや2023年の株式会社人間の方針まで決めてしまいまいました。
そして「マジでシャレにならない人だったらどうするんだ」という意見のために、どれくらい間違えていいかを設定する「間違えレベル」という、そもそもが間違えている概念も用意しました。

本人も全く知らないところでいじられている頓花さんに見られていないか心配ですが、これで準備も万端です。

そしてここからが本番、弊社で一番“いじり力”に長けているシャニカマの出番です。

「間違える年賀状」ができるまで

どうも、いじるプランナーの岡シャニカマです。

肩書きだけ見れば、今回の非礼な誤字をすべて担当したみたいに見えてしまいますが、実際はただの末端作業者に過ぎません。

「私に無礼な宛名を送りつけたのは誰なの?」「誰にクレームをつければ良いの?」そんな風に思っている方も多いでしょう。
ちゃんと追求したい方のために制作過程を洗いざらい告発します。

482件分の間違った宛名を考える

この企画が決まったのは12月に入ってからでした。
本来なら関係性のある人間メンバーがその方のために間違った宛名を作るべきなのですが、そんなことをしている余裕はありません。

そこで一部の宛名を除いて、ほぼすべての宛名をまず私が間違えることになりました。
しかし、平社員の私では責任を負いきれないので、初稿として作った宛名を確認担当の花岡さんとトミモトさんがチェックして完成させるという体制で制作することに。

年賀状を送る宛先は482件あったのですが、私も入社してまだ4年程度ですし、会ったことが無い人がほとんどです。
しかし、中途半端な誤字では花岡さんもトミモトさんも納得してくれないため、知らない方でも宛名をエゴサするなどして、2日ほどかけて間違った宛名の初稿が完成しました。

そこから全ての宛名を花岡さん、トミモトさんが分担してチェックし、調整が必要なものにはコメントが付けられます。

私は2人の意向に従ってそれらをブラッシュアップし、完成させました。

ちなみに、482件も間違え続けると自分の中にパターンが生まれるんですよね。
せっかくなのでご紹介します。

1.ダジャレ系

ラッパーが韻を踏むような感覚で、名前の音をいじって間違えるパターンです。

2.字面系

音ではなく名前の「字面」からインスピレーションを得て間違えるパターンです。

3.パーソナル系

その方のパーソナルな情報(性格や癖)から、あだ名をつけるような感覚で間違えるパターンです。

表面も間違える

裏面の宛名だけではなく、表の挨拶もたくさん間違えました。
まずは皆さんの方で「間違い探し」をしてみてください。

では正解発表です。

1.上下が逆
印刷の上下を間違えているので、反対側の面を見ようとすると逆さでイラッとします。

2.印刷がズレている
印刷した時にズレてしまったという体で、トンボが見えていたり挨拶文や写真も途中で見切れています。

3.ウサギじゃない
一見するとウサギみたいなこの動物はテンジクネズミ科の「マーラ」です。

4.ウォーターマークがついたまま
マーラの写真にはウォーターマークがついたままになっています。
テキストはデザイナー松尾さんのアドリブで「Patagonian mara(パタゴニア・マーラ)」「Hitonomono(人のもの)」と書かれているんですね。今知りました。

5.挨拶文が誤字だらけ
山根さんが書いた挨拶文を“逆校正”するような感じで誤字だらけにしました。
冒頭の「誤字ゃいます」から結びの「ガンタンク」まで、全部で11ヶ所も間違えています。

間違いを訂正して郵送

あとは郵送するだけですが、ここへきて山根さんが「誤字のまま出すと郵便局に迷惑がかかって炎上するかも」と我に返ってしまいました。

そこで「上から剥がせるシールを貼って訂正し、受け取った本人がシールを剥がすことで完成する」というギミックを追加。
これなら郵便局にも迷惑がかからず、間違えた宛名を送りつけることが可能です。

※郵便局には事前に確認もしています。

シールは剥がせる素材で、かつ後ろの誤字が若干透けるものを選びました。
また剥がしてもらえない可能性もあるので、折り目をつけています。

仕様が固まったので、あとは例年通り学生インターンの方々を総動員して作り上げます。
今年はレンガを割ったり、吹き戻しを貼り付けることもないので、たった1日で完了しました。

ここまで読んでくださった方はお分かりでしょう。
本当に間違っていたのは誰なのか。

さて、最後は発案者の山根さんにお返しします。

今年はプロとして間違いたい

再び山根です。

大阪に生まれ「ボケとツッコミ」という文化が染みついた私は、面白いことを考える時「わざと間違う」ことから始めます。間違えては戻り、間違えては戻り、何度も間違えた末に予想外の答えを見つけ出す。非常に効率の悪いやり方なんですが、既成概念を崩すのには正攻法だと信じています。

忙しいからこそ、大人だからこそ、新入社員のためにも、プロとして正しく間違える株式会社人間に今年もご期待ください!

「間違える年賀状」の製作に協力してくれた方々

有限会社サンクラール
葉山いつは
江口蒼師
澤田心花