エッセイスト「しまだあや」とは何者なのか?


どうも、株式会社人間のデストロイヤー兼人間編集部編集長、そして広報担当のトミモトです。

株式会社人間に関わる人間をクローズアップする「今月の表紙」、今月は最近やたらと話題のしまだあや(島田彩)さんを紹介します。

ご存知の方も多いと思いますが、父の前で全裸になって、サワガニを飼って、ユニクロで泣いて、3日間タイムループして……そんなエッセイをnoteで公開する度にバズりまくっているしまだあやさんです。

5月まで1,000人強だったTwitterフォロワー数は現在3.2万人を超え、彼女が書いた「今週末の日曜日、ユニクロで白T買って泣く」のハート(スキ)の数はnote史上最高記録を更新。

SNSでも、映画「ALWAYS 3丁目の夕日」の山崎貴監督、フォロワー数120万人超のインフルエンサーTestosteroneさんラサール石井さんなど、数々の著名人もシェアし、数日間Twitterのトレンド入りに。

もう、「すごい!」以外の言葉が出てこないくらいすごいことになっているんです。

株式会社人間の中では「しーちゃん」と呼ばれ、10年前から色々と深い関係にあった彼女。

人間のオリジナル商品「あの宝箱」のポスターのモデルは
実はしーちゃん。

就労や教育に関するソーシャルデザインを行うNPO法人HELLOlife(旧社名:NPO法人スマイルスタイル)に勤めながら、株式会社人間では、モデル・役者・司会・キャスティング協力・アンダーヘアの提供(ややこしいので後で説明します)などで数々の作品に関わり、忘年会では赤裸々なプライベートをクイズにする大喜利お姉さん(ややこしいので後で説明します)としてお馴染みの存在でした。

5月末に、10年勤めたHELLOlifeを卒業してフリーランスになり、6月から人間編集部にも関わってもらっているのですが……

人間編集部2年目の振り返りと、新メンバー「サワガニの人」の紹介

そんな、しーちゃんことしまだあやに、今何が起きているのか?

彼女が関わってきた人間の作品と共に、紐解いていこうと思います。

大卒後の就職と同時に、人間にも片足を突っ込んだ

私(トミモト)が株式会社人間に入社する前の話も聞くために
代表の花岡に同席してもらいました。

しまだあや(島田彩)
エッセイや脚本などを書く作家活動を中心に、企画やデザイン、司会・CMソングなど声を使ったお仕事など。1987年大阪生まれ。関西大学社会学部マスコミ学科卒業後、2010年から「HELLOlife」へ。教育・就活分野のソーシャルデザインに取り組んだのち、2020年6月に独立。生活拠点は大阪よりの奈良。気まぐれで借りた家が広すぎて、寝室以外を地元の10〜20代へ開放中。得意技は愛すること。知らないことが好き。

トミモト:
ということで、今回は花岡さんも交えてしーちゃんを紐解いていこうと思います。まずはしーちゃんと人間の出会いを振り返りたいんですが、出会ったのはいつ頃なんでしょ?

しまだあや:
私は訳あって、社会人になった時期がちょっとだけズレていて。大学を卒業した2010年の8月に前職場に就職したんですが、入社1週間後に花岡さんと山根さんが打ち合わせに来て……

トミモト:
へえ、じゃあ就職と同時に出会ってるんですね。


2010年当時のしーちゃんと花岡。

しまだあや:
そうなんです。2人が打ち合わせに来る数日前に、社長から「今度打ち合わせに来る人たち、変な人だけどしーちゃんと気が合うと思うし、長い付き合いになるはずだから紹介する」って言われて……

花岡:
えっ、事前にそんな話してたんや。何の打ち合わせだったのか思い出せないけど、しーちゃんと会ったことは覚えてる。

しまだあや:
私は会ってすぐに、花岡さんと山根さんに興味を持って。そしたら、社長が「次の打ち合わせは人間でやるんだけど一緒に来る?」って、連れて行ってくれたんです。すごく楽しくて、その様子を見て社長も「しーちゃんをよろしく」って、打ち合わせ後も少し遊ばせてくれて(笑)

花岡:
そんな感じでしーちゃんが人間に出入りするようになって、周辺の会社の人たちとランチを食べるウツボランチ部にもよく来てたから、週1回は顔合わせてたんじゃないかな。

しまだあや:
でも、私、実はもっと前から人間のことを知っていたことに後から気付いて。大学では公共広告の勉強をしていたんだけど、ネットカルチャーとかWebクリエイターに興味があったので「1-click Award」とかチェックしてたんです。だから、仲良くなってから、あの「エジソンゲーム」って人間の作品だったのかー!って。


エジソンの「ひらめき」をワンクリックでつぶし続け、生まれるはずだった発明をなかったことにしてしまうゲーム。ユーザーがアイデアを投稿する機能もあり、そのアイデアも他者がつぶすことができた。世の中の素晴らしいアイデアへの妬みから生まれた作品。「1-click Award 2007」入選。

トミモト:
なるほどー。ネット上で作品は見てたんですね。

しまだあや:
その後、イベントに誘ってもらうようになって、SCRAPのリアル脱出ゲームに参加したり、山根さんと一緒に「乙女チックポエム選手権」っていうイベントに出場したり……そこでSCRAPのふじたたまみさんとか、電通の謎解き好きチームと仲良くなったんです。


2011年KBSホールで開催されたSCRAP主催の「乙女チックポエム選手権」。”乙女チック”らしい服と髪型で、もはや小学生に見えるしーちゃん。

花岡:
当時、そのへんのメンバーとサブカル系のイベントでよく会ってて、そこにしーちゃんも入って、みんなでつるむようになった感じやね。

しまだあや:
「欽ちゃんの全日本仮装大賞」に応募したこともありましたよね。

花岡:
あったあった。電通と人間とSCRAPとしーちゃんが組んでめちゃくちゃ考えた結果……狙いすぎて予選で敗退したっていう。

夜な夜な人間オフィスに集まって作戦会議をしていた。

しまだあや:
その後、「青春!バカサミット 2」に人間が登壇した時に、スタッフとして花岡さんのメイク(白塗り)をお手伝いしたんです。花岡さんから「一人で白塗りできないから手伝ってほしい」って言われて、私も東京に遊びに行く予定があったので「やるやる」ってついて行って。

2011年10月8日池袋で開催された、日本を代表する先進バカ企業が集う進化系イベント「青春!バカサミット 2」。バーグハンバーグバーグ、変態企業カメレオン、秘密結社鷹の爪、AR三兄弟と並んで人間が登壇。ゲストとして、面白法人カヤックの柳澤さん、CAMPFIREの家入さん、ザリガニワークスなど、濃いメンバーが集まった。

花岡:
そんなこともあったな。

しまだあや:
この時に、家入さんとか、AR三兄弟の川田さんとか、今も私が好きな憧れの人たちと面識を持って、一気に世界が広がったんです。

本業は就職や教育に関わる行政の仕事

トミモト:
前職ではどんな仕事をしてたんですか?行政の仕事が多いイメージだけど。

しまだあや:
そうですね。一番最後に担当したのは、大阪府の就業支援施設での、イベント企画や広報活動でした。イベントは、司会をすることも多かったなあ。

トミモト:
人間編集部も登壇させてもらった、求職者向けの自己PR添削イベントとか……行政の仕事とは思えない斬新なイベントやってましたよね。

しまだあや:
うれしいなあ。みんなで頑張りました!「働くって何だろう?」っていうことを色んな視点から考えて、もっと自由に楽しく、仕事や企業への出会いを作れたら……と。

花岡:
大阪のイベントとは思えない東京の有名人も呼んで、トークイベントしてたよね。家入さんとかAR三兄弟の川田十夢も出てた。

しまだあや:
人間さんとのつながりで出会った憧れの人たちと「いつかお仕事をご一緒したい」と思っていたので、自分が携わる仕事でお呼びできたのはいい思い出です。


川田十夢…のコスプレをするしーちゃんとご本人。
人間メンバーも乱入した、トークイベント打ち上げでのワンショット。

トミモト:
他にはどんな仕事をしてたの?

しまだあや:
一番思い入れがあるのは、宮城県石巻市の高校生たちと一緒にカフェづくりをしたプロジェクトですね。本当に何もない真っ白な空間からスタートして、そこに約30人の高校生が集まって、お店のコンセプトや内装、どんなメニューを出すかをみんなで考えて、実際に働いてみるっていう、ゼロからお店づくりを通した社会体験プログラムなんですが……思い出すだけで泣けます。

花岡:
しーちゃんほんとすぐ泣くからなぁ。どんだけ感受性高いねん。

しまだあや:
石巻市は東日本大震災で大きな被害を受けて、参加した高校生たちも、いろんな経験や思いを持っていて。その高校生たちと未来を考えて、一緒に過ごした日々が本当に豊かで。それで、当時高校1年生だった子たちが、もうお酒飲める歳になってるわけなんですよ。「いちごオレで乾杯が、ビールで乾杯になる日までの話」っていう話をnoteにも書きましたが、大人になった彼らと飲みに行って、ビールついでもらった瞬間、涙腺崩壊。

トミモト:
それは泣くよね。

しまだあや:
こないだも「もうすぐ赤ちゃんがうまれる。でも、こんなことを悩んでて……」と、誰にも言えない話を打ち明けてくれたり、「明日すごく緊張することがある。しーちゃんがいた会社の面接を受けるの」って連絡もらって、驚いたり。今でも連絡を取り合って、彼らの変化を感じられるのが本当にうれしいです。彼らはずっと、私の友だちです。

アンダーヘアの提供から大喜利お姉さんまで


トミモト:
そんな感じで、本業では行政の仕事をメインに、教育や復興支援のプロジェクトに関わりながら、人間ではけっこうめちゃくちゃなプロジェクトに参加してたわけですが(笑)。人間のプロジェクトに最初に関わったのは?

花岡:
多分「めざますテレビ」じゃないかな?元々、山根が朝全然起きられなくて遅刻ばっかりしてたから、ネットで寝てるところを生中継して、見てる人に起こしてもらうっていう企画だったんやけど、数年後にしーちゃんや他のゲストによる配信をやったんだよね。

寝坊したくない人が寝室をライブカメラで配信し、起きる時間になったらWebサイトを通して誰かがアラームを鳴らすシステム。アラームは何時でも鳴らすことができるため、寝ている人が起きたい時間にアラームを鳴らすかどうか、人間の良心が試された。

トミモト:
私がしーちゃんと初めて仕事したのは、謎解きイベント『博士の異常なモテモテ人体実験』なんですよね。しーちゃんは天然小悪魔系のキャストの一人として出演してくれたんだけど、あの時初めてしーちゃんの本質を見て衝撃を受けて……

しまだあや:
えー!?何だろう?靴紐のやつ?

トミモト:
そうそう。キャスト一人ひとりにキャラ設定と台詞があるんだけど、アドリブもOKで。演技指導の時に「じゃあ、次はアドリブで演技してみようか!」ってしーちゃんを指名したら、いきなりしゃがんで私の靴紐をほどいて……「あっ、靴紐ほどけてますよ?」って、上目遣いでチラチラ見ながら靴紐をむずびなおしてくれるっていう、想像の斜め上をいくアドリブで他のキャストをポカーンとさせてた(笑)

しまだあや:
思い返すと恥ずかしい(笑)。でもなんか、とっさに浮かんだのがそれだったんですよね。靴紐結ぶ角度から見上げるのってちょっとエロいかも、って(笑)。あと、まだキャストのみんな緊張してて硬かったから、アイスブレイクがてら「突拍子もないことやってまえ」って。

花岡:
しーちゃんは計算高い天然少女やからなぁ。

人間とクロネコキューブのコラボ企画として初めて体験型の謎解きイベントを実施した『博士の異常なモテモテ人体実験』は、参加者がキャストと直接絡んでモテ体験をしながら謎を解いていく没入体験型の謎解きゲーム。しーちゃんは天然小悪魔少女として参加者を惑わしまくっていた。

トミモト:
そういえば、しーちゃんは昔劇団に所属してたんだよね。

しまだあや:
はい。高校時代に劇団ひまわりに入ってました。女優志望とかではなくて、前に出たりしゃべったりするのが上手になりたいっていう動機でした。そしたら、演技するのが楽しくなって。だから、今も人間の仕事で色んな役を演じられるのは本当にうれしい。

トミモト:
人間の仕事で一番印象に残ってるのは?

しまだあや:
全部楽しくて印象に残ってるけど、一つ選ぶとしたら水都大阪の『水都村ビッグ盆』かな。物語性があるからめっちゃ役に入り込めたし、しばらく物語の世界から抜けられなくて、川の名前を見るたびにウルウルしてたんですよ。

『大阪大発見!祭りだ!祭りだ! 水都村ビッグ盆』では、会場内に”お盆の時期に出現する”という架空の村を作り、謎を解いて手に入れたキーワードで会話するとストーリーが進行するリアルRPG型の謎解きゲーム。大阪の水路の歴史を絡めた設定で、今はなき川を擬人化。しーちゃんは寺子屋にいる堀江先生役を演じた。

トミモト:
えー、それは嬉しい……。というか、私も脚本を書くときに完全憑依してしまうタイプなので、同じく川を通る度に泣いてたんですよ(笑)

花岡:
あの仕事は実際に村長の家とか建てて、本当にイチから村を作って、頑張りすぎて最終日に全員魂抜けてたな……懐かしい。あれからしばらく、イベントの仕事が辛くて請けるのをやめました。

トミモト:
しーちゃんが関わった人間の仕事って、役者とか、司会とか、声の出演とか……しゃべる仕事が多いよね。そういえば、人間の仕事とは関係ないけど、関西人なら誰でも知ってるあのCMの声もやってたって話はかなり驚かれるんじゃない?


賃貸住宅サービスちんさくん(2015〜2017年バージョン)はしーちゃんの声なのだ。

しまだあや:
そうなんですよ。実はあの声わたしなんです。

トミモト:
あと、株式会社人間にとってしーちゃんといえば年に一度忘年会での超人気コンテンツ「クイズしーちゃん」を提供してくれる大喜利お姉さんですよね。

しまだあや:
「クイズしーちゃん」はもう5年連続でやってますね。

「クイズしーちゃん」は、株式会社人間の忘年会の超人気コンテンツ。しーちゃんがその1年で体験した色んな話をクイズにて、最も正解に近い答えを書いた人だけが答えを教えてもらえる。

花岡:
僕も毎年楽しみにしてるけど、「クイズしーちゃん」目当てで忘年会に来る人もけっこういる。しーちゃんがその年に経験したことをクイズにして、正解に近かった人だけが本当の答えを教えてもらえるんだけど、当てにいくかどうボケるかっていう大喜利なんです。毎年アップデートされるしーちゃんの体験が想像を超えまくってヤバくて。

トミモト:
ここには書けないヤバい話やエロい話が(笑)

花岡:
しーちゃんは陰毛も躊躇なく提供してくれたし、NGがないよね。


「陰毛のうねりを音の波形にして音楽が作れないか?」という発想から、Groomingしたアンダーヘアで新たなGrooveを世界へ発信する史上初の音楽プロジェクト「PUBIC HAIR GROOVING」。しーちゃんをはじめ大勢の女性から採取したアンダーヘアでm-floの☆Taku Takahashiさんに曲を作ってもらった。

トミモト:
しーちゃんはPVで顔写真使うのもOKしてくれたし。「行政の仕事とかしてるのに大丈夫……?」って、こっちが心配になってた。

しまだあや:
まあ、本名じゃなかったし、ちっちゃいアイコンとアンダーヘアのトレース見て「これ島田彩だ」ってわかる人はいないんでね。いたらこわい(笑)。それにこの企画は、目的はすごく真面目ですごく共感できる内容だったので!


人間は素の自分を出せる場所だった

インタビュー中、大事にしているふわふわなカニさんのぬいぐるみを花岡に邪険に扱われ、泣き出すしーちゃん。

しまだあや:
仕事では出していない、本当に素のしまだあやが出せるのは人間にいる時で。「クイズしーちゃん」がその最たるものだったんですよ。

花岡:
何やろね。みんな人間に来ると素の自分が出すぎておかしくなってくる。

トミモト:
よくある現象ですね。

しまだあや:
noteをきっかけに私を知ってくれた人は、しまだあやはハートフルな人間だと思ってくれてると思うんです。まあ、ハートフルではあるんですけど、でも私、本当はもっとドロドロしてるし、言えないこともたくさんあるし……。

花岡:
いわゆるブラックしーちゃんの部分やな。

しまだあや:
花岡さんは私のヤバい話大体知ってるもんね(笑)。うれしいことに、Twitterのフォロワーが一気に増えたんですが、みなさん私のnoteを見てフォローしてくれた人たちだから、ブラックな部分は求めてないだろうなあって。面白い話もいっぱいあるんだけど、さらけ出したらドン引きされるかな?

花岡:
今は出さない方がいいんちゃうかな。

トミモト:
別に裏表があるわけではなくて、ハートフルなしーちゃんも、ブラックしーちゃんも、感受性の高さゆえに同じ延長線上にあるものだと思うんですよ。しーちゃんは自分に素直で、だからこそ感情を押さえるのが苦手で。たまに、しーちゃんの話を聞いてると「嘘でしょ!?」「それ言っちゃう!?」って驚くことあるけど、後々「何にも染まっていない素直な子供の発言」だと思うとめちゃくちゃ腑に落ちる(笑)

絶滅危機の野生のエロ本を探すイベント「野生のエロ本捜索隊」で、エロ本の束を見つけたMVPはしーちゃん。子どもの目線で探したところ見つけたという。

花岡:
しーちゃんの危うさはそういう部分なのかも。前に会社の近くのコンビニで会ったら、急にしーちゃんがわーわー泣き出してびっくりした。

しまだあや:
それは家族のことで色々あった時だなぁ。我慢して仕事してたんだけど、ふと外で花岡さんの顔見たら、耐えられなくなって泣いてしまって。

トミモト:
感受性の高さゆえに仕事でも大変なことはあったんじゃない?

しまだあや:
いやもう、失敗もたくさんしましたよー。でもほんとに、仲間に助けられました。感謝してもしきれない。

トミモト:
そういえば、昔からそういうソーシャルデザインとかNPO団体の仕事がしたくて入ったの?

しまだあや:
社会人になった時期がズレてるって言いましたが、実は、大学卒業後はイギリスのアートスクールに留学しようと思っていたんです。でも、そのタイミングで、父に仕事がなくなったりで経済的に厳しくなり。で、たまたま大学の後輩と行ったイベントで、前職の社長と出会ったんです。

トミモト:
じゃあ、そういう仕事がしたくて見つけた会社ではなくて、たまたまの出会いだったんだ。そして10年勤めて……

しまだあや:
運命的でしたね。前の仕事も、一緒に働いていたメンバーも、今でも本当に大好きで。でも、独立に興味はあって、ちょうど10年で区切りもいいし「今かな」って。大好きだからこそ、外に飛び出そうって思ったんです。

トミモト:
めっちゃわかる。私が東京を離れて大阪に移住した時もそんな気持ちだったので。

しまだあや:
あと、独立の背景には、家入さんのアドバイスもあったんです。めちゃくちゃ迷ってた時に「離れてみたらいいよ、だって戻ってこれるもん」って言われて。シンプルに「あ、そうだな」ってなった。

トミモト:
私はしーちゃんがフリーランスになるって聞いて速攻「人間編集部にも入って!」ってスカウトしたけど、その時は「何でもやります」のスタンスだったよね。

人間編集部のメンバーの集合写真。

しまだあや:
フリーランスになったものの、何のフリーランスなのか肩書きもなくて。自分ができることはわかるけど、それはまとめると何屋さんなのか、そもそもしまだあやとは何者なのか?っていうのもわからなくて。まずはそれを一番知っているであろう人間さんに相談しに行くところからはじまったわけです(笑)

花岡:
で、みんなでしーちゃんの経歴をまとめたり、屋号を考えたり、ホームページ作ったり、売り出し方を考えている最中に、noteでバズって有名人になってたっていう。

トミモト:
エッセイストしまだあやが爆誕してましたね。

しまだあや:
人間さんと肩書きや屋号のブレストをしてるとき、「どうなりたいん?」って聞かれて「公園みたいになりたい」って言った気がします。どんな人でも入れて、いろんな生き物がいて、遊んだり休んだり。そしたら、トミモトさんが「しーちゃんは『みんなの』じゃない?」って言って。花岡さんが「あ、それやわ。しーちゃんは独立して『みんなの しまだあや』になったんや」って言って。「わあ!」ってなりました。だから屋号は「みんなの」にしました。

トミモト:
実はホームページも完成したんだよね。

しまだあや:
人間のみんなに協力してもらいました!「みんなの」なので、見る人によって印象が変わりそうな絵にしたくて。だから、性別も年齢も、楽しそうなのか放心してるのかもわからないキャラデザにしてもらいました。あと、ボタンやバナーも、角という角を全部まるくしてもらいました。ささっても痛くないように。

しまだあやはどこに向かっているのか?

トミモト:
それにしても、エッセイを書くようになってだいぶ世界が変わったんじゃない?

しまだあや:
変わりました。なんか、めっちゃ褒めてもらえるんですよ。びっくりするくらい褒めてもらえてうれしい。みんなが「感動した」って言ってくれたユニクロの話とか、そんな突拍子もない話ではなくて、日常のちょっとした話なんですけど、すごい反応が返ってきて、びっくりしてる。

トミモト:
日常っていうけど、しーちゃんの視点はしーちゃんにしかなくて、どこにもなくて先が読めない話なんですよ。その経験をするということも含めてしーちゃんにしか書けない「らしさ」が凝縮されてる。そして、ネットの情報に疲れてたところに、スッと入ってくるやさしい読み物で。

しまだあや:
わあー……うれしい。

トミモト:
あと、自由に書いてる感じだけど、切り取り方が上手い。タイトルのつけ方がクイズ的というか……あれ?……それって、「クイズしーちゃん」なのかも?ユニクロの話も「ユニクロに行って泣く予定です。なぜでしょう?」ってクイズだもん。いつもの「クイズしーちゃん」なら、ヤバい話やエロい話が満載なんだけど、noteのコラムはハートフルな「クイズしーちゃん」なのか(笑)

花岡:
お父さんにヌード写真撮ってもらった話は、実際に数年前の人間忘年会で「お父さんの前で裸になりました。なぜでしょう?」ってクイズになってた。

しまだあや:
そういえば、エッセイを書いていこうと決めたきっかけの一つが、一昨年の人間忘年会で「クイズしーちゃん」に参加した、m-floの☆Taku Takahashiさんなんです。クイズで話した私の体験談を「本当に面白かった」ってえらい褒めてくれて、帰り際に「キミは物語の人だよ、絶対に物語を伝える仕事をしたほうがいい」って言われて。

花岡:
そうだったんや。

しまだあや:
あと、川田十夢さんも「しーちゃんは、人間の続きや終わりを、ときに豊かにときに貧しく表現する。現実に内在する物語を丁寧に取り出している。早かれ遅かれ、しーちゃんは書く人だと思ってた」って。

トミモト:
うんうん、私も思ってたよ。しーちゃんは物語の人だって。全てが初体験の子供みたいな感性で物事を受け止めてるよね。

しまだあや:
人間編集部の仕事で近畿大学の写真部の取材に行った時、数分に1回は泣いていて、写真を撮ってくれたロマンさんに「赤ちゃんみたい」って言われたんですよ。「そんな喜び方は子供しかしないよ」とも言われました(笑)


初めてフィルム写真の撮影から現像を体験した近大写真部の取材では、写真ができあがるまで5分に1回は感動して泣いていたという。

60年前の家族と暗室で会った。近大写真部「フィルム現像」体験記

花岡:
感受性が高いってそういうことか。子供があんなにキラキラしてるのって、日々新しい体験をしてるからで、感動や喜びが大人とちゃうんやな。4歳とか5歳くらいの子供が文章能力つけたらあれを書けるのかもしれない。

トミモト:
確かに、しーちゃんは文章能力のある5歳児なのかもしれない(笑)。このまま大人にならないでほしい。最後に、これからやりたいことを教えてください。

しまだあや:
何でもやりたいです(笑)。あと、今一番楽しみなのが、トミモトさんと一緒にはじめた「あした死ぬラジオ」かな。「死」をテーマにしたコンテンツはずっとやりたかったので。

トミモト:
本当は、死を擬似体験するワークショップや死に関する展示イベントを企画していたんですが、今の世の中の状況的にもイベント開催は難しそうだったので、2人でPodcastをすることにしたんですよね。

しまだあや:
あと、開放してる家のことは、文章か映像で表現したいなって思ってます。まだみんなに言ってない、素敵ことがたくさん起きてるから。

しーちゃんが住んでいる一軒家の寝室以外の部屋や庭を、
自由に使えるスペースとして若者たちに解放している。

しまだあや:
人間編集部で企画や編集の仕事をするのも楽しいし、他にもお菓子屋さんとコラボしたエッセイや、ミュージックビデオの脚本を書くお仕事もさせてもらって、何でも楽しい。だから、やりたいことはいろいろです。でも、ありたい働き方はひとつで、愛のある人と、愛のあるお仕事をできたらうれしいです!

トミモト:
そういうのは大事だね。人間編集部の仕事でも、しーちゃんが本当に興味があることに打ち込んで欲しいし、ライターとか編集者とかそういう肩書きではなく、しーちゃんをしーちゃんとして必要だと思って声をかけたので。これからもよろしくお願いします!